道の駅を発つと、「別所・丸子温泉郷」を往く。二差路を左に折れて(→)めざすは大塩温泉。話は横道にそれるが、大塩温泉は、別所・丸子温泉郷の温泉群の中では、一番地味な存在だ。昔の地図帳を見ると「大塩温泉」と明記されているが、現在のロードマップでは省略されているものもある。昔は「信玄の隠し湯」として栄えたようだが… 冷泉で、加温を始めるという15時をめがけ、ぴったり15時の到着になった。
 場所は国道254号線の面した、小高い丘の上。小さな集落のなか、畑に囲まれた古い公民館のような建物が「大塩温泉共同浴場」。
 昔は温泉街も存在していたようだが、周囲にあるのは宿舎の跡や旅館の廃墟だけ。他の温泉群と違い畑の真ん中にあって信州っぽくない。そこがいちばん地味になってしまった理由かもしれない。
 係の人が加温設備を稼働させて帰ったばかりのようで、無人の館内はしいんと静か。ボイラーの微音だけがする。意外だったのは、僕が到着した時に帰る観光客とすれちがい、帰る時にも訪れてきた観光客がいたことだ。大塩温泉、まだまだ捨てたもんじゃないと安心する。さてポストに入浴料を入れて、浴室に入ると、ほんわか暖かい。金気匂が漂う。泉質はカルシウム・ナトリウム硫酸塩温泉。ちょろちょろとかけ流されるお湯は、驚くほど透明度が高い。
 嬉しいことにそれほど冷たくなくて、温度は35度と、ぬる湯。お湯じたいはとにかく新鮮で、また微炭酸というか、肌にわずかだが泡がつく。じっくりぬる湯に浸かって、瞑想のひとときを愉しんだ。
 風呂あがりは疲れがとれた印象があり、また温浴感も強くて、ほてりが心地よい。大塩温泉、良かったです。
 このあと松本から中央高速で帰路につく。帰宅は遅くなって20:20、総走行は582kmと伸びた。
 今回は別所温泉の外湯制覇とともに、大塩温泉も訪れて、別所・丸子温泉郷の湯めぐりもひと区切りついた。そこで次頁に“まとめ”を記させていただきました。いま見返しても、どの温泉も文句なしに素晴らしい。
 一人旅には、極楽のような温泉郷ですぞ。
「大塩温泉・共同浴場」
入浴料¥200-
長野県上田市西内150
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