「極楽湯」は、遊歩道を下った崖の先端。
 この小屋が男女別の脱衣所で、脱衣所の向こうが、男女別の露天風呂になっています。
 ふたたび霧が出てきて、あたりは幻想的に。
 さて、すっ裸になって狭いトンネルを進むと、屋外に出ます。素晴らしい露天風呂(下)が出迎えてくれました。荒涼とした谷を背景に、クマザサの緑、そしてエメラルド色に白濁した源泉、これぞ「The MANZA」という典型的な姿です。お湯はぬるめ。白濁は濃くて、自分の手がすぐ見えなくなる。肌あたりはさらさらとしています。甘いイオウの匂いのせいもあるのですが、身体が包みこまれるような心地よさ。それに加えて、効能がじわりと入ってくる快感もある。恍惚としてしまいました。風呂あがりは脂がおちて、肌がさらさら。それも出てすぐに、さらさら感を実感できます。
 こんどは本館で、内風呂の「長寿の湯」にはいります。見あげる浴室の梁は黒々とした大木、浴槽の周り縁も檜の大木、そして床も湯が流れるように格子組みされた木張り。その重厚さと精緻さは文化財級で、圧巻です。
 話しはとびますが万座温泉には数種類の源泉がありますが、日進館ではそのうち複数の源泉を持つようです。浴槽にも、それぞれに源泉の名前がついています。
 苦湯(にがゆ)というのが、僕のお気に入りでした。お湯の温度は熱く、抹茶色の白濁も濃い。なんでも源泉の一番濃く熱いところを、人が入れる温度まで加水しているという。身体に圧は感じないのに、効能がずんずん入ってくる感じがたまらない。長湯ができて肌が真っ赤になりました。風呂あがりは身体から甘い匂いが立ちのぼっていやされます。極楽の湯と違い温浴感は強かったけれど、これは標高が高いせいかもしれません。なにしろ標高1,800mでの入浴ですから。というわけで、この苦湯を自由研究の成果としましょう。
 名湯です。お薦めします。
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