湯屋は長い廊下を歩いて、さらに石段を登った奥です。脱衣所は座敷なのが嬉しい。円い脱衣かごと、脱いだ革ジャンがマッチせずに可笑しい。脱衣所の続きがそのまま内風呂になり、その奥に木立に囲まれた露天風呂と、雰囲気抜群。
泉質はアルカリ性単純泉で、37度。無色透明で匂いなし。肌あたりはややキシキシ感があります。床石が鉄色に染まっているので、わずかに鉄分の含有があるのでしょう。お湯は端麗というか、身体を優しく包みこんでくれる感じ。
水深が深い。
座って、回り縁に首をあずけて、大木で組んだ天井を見あげます。
瞑想にふける。
島崎藤村… 僕が木曽路に行くときに思い出す「木曽路はすべて山の中である」は、「夜明け前」の書き出しです。
島崎藤村が入った温泉に、こうして浸かっているんですね…。
露天風呂のほうも水深が深い。木洩れ陽を見あげて瞑想にふける至福のひととき。風呂あがりは身体が軽くなって、肌がさらさら!風呂あがりのほうが効能を感じます。余韻の残る、バランスのとれた名湯です。
いずれも許可をいただいた撮影です。