「湯小路いきいき元気館」は湖畔の旧市街地にある、市営の総合福祉センターのワンフロア。駐車場は広大で、介護サービスを受けるお年寄りを送迎するマイクロバスがひっきりなしに発着する。玄関に銭湯の表示はなく、館内もリハビリ病院みたいで、車いすのお年寄りもいる。思わず心配になって、受付に「あのぅ…僕、温泉に入りたいんですけど、ここでいいんですよね?」と聞いてしまったほどだ。その反面というか脱衣所は広々としていて、鍵付きロッカーも革ジャン革パンが余裕で収まる。こりゃ快適だ。
浴槽はタイル張りの内風呂とサウナだけ。源泉のワラのような匂いがたちこめている。お湯は薄い緑茶色。源泉は72度と高温だが、浴槽では適温。循環式だけれど、浴槽の縁からオーバーフローしているので、源泉は多めらしい。はたしてお湯の鮮度もある。
泉質は単純イオウ泉。お湯を手のひらにすくうと甘いタマゴ臭。思わず笑みがこぼれる。
水深が深いこともあって、とても寛ぐことができた。
風呂あがりは身体がシャキッとして、疲れがとれている。
この入浴料で一般客に開放され、それも県外客に開放されているのは、嬉しいかぎり。
諏訪湖の温泉銭湯はこれで6つめ。他の温泉から引湯しているものや県外客お断りのもの、駐車ができないものを除くと、これでだいたい制覇ができたことになる。
6つどれも良い湯だった。
どれか1つコメントをと問われたら、片倉館の千人風呂。
社員の福利厚生で、大きな温泉を作った財閥の心意気には感銘する。伊東の東海館、四万温泉の積善館、法師温泉の長寿館とともに、「文化財に入浴する」のは、いつだって格別な体験だ。
帰路は渋滞した、それもとてつもなく。
まだトップシーズンだよなぁ…と、何度めかのため息。
がっくりして、中央道の谷村PAで、北の空を見上げると…
紺青(こんじょう)色で驚く。(右)
他のドライバーも気づいて、空を指さしていた。
帰宅したのは16:16、総走行は442km。
諏訪湖の温泉銭湯は、いかに銭湯とはいえ、その評価を過小にすべきではない。
そんな諏訪湖の歴史をおもう、処暑の旅だった。
「湯小路いきいき元気館」 026-654-7711
長野県諏訪市小和田19-3 入浴料¥310-