建物は、国道から一段下がって、狩野川を背にして建っている。浴室はさらに一段下、河原に降りる。浴槽は、比較的大きな内湯と、大小の露天風呂。
適温だった露天風呂を楽しむ。泉質はナトリウム−硫酸塩温泉。無色透明のお湯はわずかにつるすべ感があり、嬉しいことにお湯が新鮮なように感じる。
小さな露天風呂は薬湯で、薬草(看板にはトウキ、インチソウ、センキュウ、ソウジュツとあった)の入った袋がお湯に浸してあって、お湯が褐色に染まる。この薬湯が肌が浄化されるような独特な刺激があって良かった。
今まで薬湯って本来の源泉を楽しむのに邪魔だなと思っていたが意外だった。
「バイクの方ですよね?(注;僕は浴室でもバンダナをしているので素っ裸でもソレと識別できる)」
露天風呂で話しかけていただいた男性は、僕より5〜6歳年上の方で、しばらく彼と世間話をする。彼は週に一回、92歳のお母さんをここで入浴させるために、湯ヶ島の実家まで戻っているのだそうだ。これだけご近所さんの多そうな温泉なら、お母さん一人の入浴でも安心だろう。そういう彼自身も入浴しているおじいさんに積極的に声をかけていて、おじいさんがよろけないかと気遣う姿が印象的。
「僕もビッグスクーターを持っていますが、去年バッテリー上げてしまって、乗らずにもう半年は放りっぱなしだなぁ」と苦笑しておられました。
大丈夫、バッテリー充電してガソリン入れれば何とかなるもんです。単車ってのは、そういう肩のチカラを抜いたVehicleですから。