さて、旅を続ける。川沿いに古びた温泉街をゆく。黒々とうす暗い川は千歳川。橋で対岸にわたると、ひときわ古い旅館が密集した一角に入る。以前の「伊豆屋旅館」も、これから訪れる「上野屋」も、この一角にある。上野屋は、有名な共同湯「ままねの湯」と同じ泉質であることを売りとしている旅館である。ここでまず、「ままねの湯」のことにふれておきたい。
 「ままねの湯」は湯河原の中でも、もっとも古く、そして有名な共同湯。そもそも湯河原温泉が万葉集に読まれる温泉なので、「ままねの湯」がどれほど古いのか、僕には見当もつかない。
 「ままねの湯」はいろいろな諸説をもつ。たとえば以前はオープンであったが、いまは外来客の入浴はお断りであるとか、許容される場合も肌アトピー治療の湯治客に限られるとかだ。その証拠に、有名なのに公式観光サイトでも省略されている。いちど入ってみたかったが、僕のような立ち寄り客は断られるのだろう。
 また温泉の熱さにも諸説があって、激熱でとてもじゃないけど浴槽に入れないという。以前に伊豆屋旅館でご一緒した男性からも「ままねの湯は風邪ひくから冬はだめ。浴槽に入ることができず暖まらないから」と忠告されたこともある。ただ温泉マニアの体験談では「それほどでもない」という声もある。
 いずれにしろ「ままねの湯」には駐車場はない。
 というわけで、上野屋の泉質が同じならば、「ままねの湯」のお湯は上野屋で体験しよう。
みやかみの湯
こごめの湯
ままねの湯
伊豆屋旅館
上野屋
この20年間に訪れた 湯河原温泉
真鶴半島
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