自分が初夏の景色に溶け込んでゆく。
 こんなにゴキゲンでいいのか、と、肩をすくめる。
 いいのだよ、と、山が答える。
 じゃあ、いまさら躊躇してもはじまらない。
 
 やがて、温泉街に入るさいしょの分岐が現れる。
 御夢想の湯は、温泉街のいちばん奥、日向見地区で、薬師堂の駐車場にあるらしい。
 このあと、そこにたどり着くまではドキドキだった。
 そもそも険しい渓谷にへばりついている温泉街の中でも、道の狭さは極めつき。
 道と言うより、通路といったほうがいいくらいだ。
 無事に着いたときには、ほっとする。(↓)
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