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⇒上田の
真田そば
⇒千曲の
くるみ汁
蕎麦
 「羽広農業公園みはらしファーム」は、伊那市街から木曽駒ケ岳を登った中腹にある。公園のお食事処の「そば処・名人亭」で行者そばをいただく。
 公園はそば打ちはもとより、パン作り、おやき作り、草木染めまで体験できる。緩斜面の段々に各施設が設置されて、駐車場も完備。立派でおしゃれで、眺望も抜群と申し分ない。
 名人亭は、店内は天井が吹き抜けで、席もゆったりとしていて落ち着ける。
 ほぼ満席だったが、ちょうど入れ替わりに窓際の良い席に陣取ることができた。注文してからお客さんを観察すると、地元のグループ連れや女性同士。皆さん蕎麦を楽しんでいる。
 「行者そばセット(¥1,050-)」と「かきあげ(¥350-)」が席に来る。長皿には、追加するための辛味大根のおろし、木べらの辛味噌は辛いといっても“甘くない”程度の味噌、そしてネギ。ワサビはつかない。手打ちの細麺をひと箸たぐると、ツユに浸して…うっ、うまい。ツユが上品というか、風味豊かな蕎麦と相まってこれはうまい。辛味大根の絞り汁にわずかな鰹節(?)で味をととのえているのか。こんどはツユに味噌を加えてみる…うん、味に深みが出て、もっとうまい。驚いたことは二つ。一つはツユに味噌を加えていっても味噌あじにはならず、辛味大根の味が支配的なこと。追加する大根おろしは無くてもいいくらいだ。二つめはツユの辛みが絶妙で、たしかにワサビは要らないこと。辛みが蕎麦の甘みを引き立ててくれる。大根おろしが好きな僕には、夢のように美味しい蕎麦である。残ったツユにそば湯を注いで味噌を加えると、これがまた複雑な旨さの汁になる。
 信州蕎麦は家庭料理として、またおもてなし料理として、畑でとれるものだけで工夫してきた歴史がある。それが味噌あじやクルミ風味の多様な蕎麦ツユを生み出して、旅人を満足させる。
 ともあれ行者そばは、おいしかった。ごちそうさまでした。
「信州伊那そば処・名人亭」
伊那市西箕輪羽広3415 0265-74-1831